私はベンチに坐って何気なくさまざまなものを見ているとき、他の人たちにはこの風景はどんな風に映っているのか知りたくなるときがあります。他人の目で同じ風景を見てみたい。刷り込まれた潜在意識によって世界は違ったものに映っているにちがいない、だからそれを確認したいと思うのです。
実際、私たちの周りにはいろいろなタイプの人がいます。同じ兄弟姉妹でも性格は違います。同じ家に育ち、同じものを食べて、同じ学校に通っても、性格はまったく違うということはよくあります。どうも性格の違いは親の育て方や環境とは関係のないものだと、私も経験からそう感じてはいました。
アーユルヴェーダはそれぞれの個性に合わせて健康を考えていくものですから、一人ひとりの個性を知ることが重要なポイントとなります。「人はそれぞれ個性をもって生まれてきて、それは生涯変わらない」というのがアーユルヴェーダの考え方です。日本にも「三つ子の魂百まで」ということわざがあり、「小さい頃の性格って、ホント年をとっても変わらないねぇ〜」と、他人のあまりよくない性格を嘆いたりするときによく使います。アーユルヴェーダでは長所も短所もその人の持ち味だから、良くも悪くもない、その人らしさそのものと考えています。アーユルヴェーダではそのような生涯に渡って変わらない個性の裏には、3つのエネルギーの存在が大きく関わっているといいます。そのエネルギーを「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」と名づけています。この3つのエネルギーのバランスの違いによって個性ができるというわけです。
ヴァータは「風のエネルギー」といわれ、軽い、乾燥している、変化しやすい、冷たいという性質をもっています。だからヴァータを多くもって生まれてきた「ヴァータ体質」の人は、そのような風の性質を多くもっていることになります。動きが軽快、おしゃべりで愉快、気まぐれ、体が冷たく、乾燥しやすく、肥りにくい。ピッタは「火のエネルギー」といわれ、熱い、鋭い、軽い、変化しやすいという性質をもっています。だからピッタを多くもって生まれてきた「ピッタ体質」の人は、火のような性質を多く表します。怒りっぽいけれど情熱的で、批判的、完全主義者。味方にしたら百人力だけれど、敵にまわしたら怖いタイプです。カパは「水のエネルギー」といわれ、冷たい、重い、油の性質、緩慢な性質をもっています。だから、カパ体質の人は動作も考えることもゆっくりのんびり、性格は穏やか、母性的で平和主義。そこにいるだけでほのぼのとする存在です。
これらは、1つのエネルギーが他の2つのエネルギーより極端に多い場合の体質で分かりやすいタイプですが、世の中はそう分かりやすい人ばかりではありません。3つのエネルギーのバランスが微妙になるにつれて、性格や傾向も微妙で分かりにくくなってしまいます。まさに十人十色。単純じゃないから人間って面白いといえるかもしれません。
さて、思いがけない状況に陥ったときの反応によって、その人の「体質」がよく分かるといわれます。今3人の女性が久しぶりに会って食事をすることになりました。この人たちは「ヴァータ体質」「ピッタ体質」「カパ体質」のどのタイプでしょうか? 考えてみてください。
レストランに入って食事を注文しましたが、 30 分たっても出来上がってきません。
A子さん:店内のインテリアや他のお客さんたちを見回して興味津々という感じ。おしゃべりにも夢中で、別に料理の遅れは気にならない様子です。
B子さん:椅子にどっしりと坐ったまま、A子さんの話をじっと聞いています。別に食べなくても平気そう、あと 10 分や 20 分遅れても文句はいいそうにはありません。
C子さん:お腹が空いてイライラしています。冷たいお水をひっきりなしに飲んでいます。ときどきボーイさんを呼んで催促しては手順の悪さに文句を言っています。
どうですか、簡単ですよね。
ところで、あなたはどのタイプですか? |